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筋肉が太くなる仕組み、筋肉とは何か

筋肉が太くなる仕組み、筋肉とは何か


ライター

筋肉とは一体何なのか。あまり深く考えたことがないという方がほとんどではないでしょうか。トレーニングは勿論、人間が生きていくには必要不可欠な筋肉について基礎知識を説明します。内容が少し難しく感じることがあるかもしれませんが最後まで見ていただくと今よりは知識が身に着くと思います。

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筋肉とは一体何なのか。あまり深く考えたことがないという方が多いのではないでしょうか。

トレーニングは勿論、人間が生きていくには必要不可欠な筋肉。その筋肉とは何か、どうすれば太く強くなるのか。今回は筋肉をテーマに出来るだけ分かりやすく説明します。

内容が難しく感じることがあるかもしれませんが少しでも参考になれば幸いです。

筋肉とは何か

筋肉とは筋線維という繊維状の細胞で、その筋線維は”筋原線維”が束になったものです。

筋原線維はアクチンミオシンという筋タンパク質からできており、ミオシンがアクチンと結合することで筋肉は収縮することができます

そして筋肉は骨格筋・平滑筋・心筋の3つの種類があります。

骨格筋(こっかくきん)
一般的にカラダを動かす筋肉で、関節の動きなどにも関与。
運動神経が支配しており、自分の意志で動かすことができる筋肉、横紋筋とも呼ばれている。強い力を必要とする時に働くが、持続力が弱い。
平滑筋(へいかつきん)
胃や腸、血管などの器官にある筋肉でその器官の動きに関与。
自律神経に支配されており、自分の意志で動かすことができない。強い力は出せないが、弱い力で持続的に働くことができる。
心筋(しんきん)
心臓を動かしている筋肉。心臓にのみ存在する筋肉で、生まれた時から細胞分裂をせずに同じ大きさのまま。
強い力で働きながら持続的に働く筋肉で、骨格筋と平滑筋の両方の特徴を持ち合わせている。

筋肉が持つ役割

筋肉が持つ役割

筋肉が持つ役割は大きく分けて5つあります。

1.身体を動かすエンジン

当然ですが、筋肉がなければ立つことも歩くことも走ることもできません。

関節を動かせるのは筋肉があるからで、身体の内部の器官である心臓・胃・腸などの器官も筋肉が動かしています。筋肉が無ければ内臓器官も動かすことができないということです。

2.姿勢を維持する

地球上で生活していると常に重力が働いています。

座ってじっとしている時、立ったまま動いていない時、寝ていて動かない時など、どの状態でも姿勢を安定させられるのは筋肉が働いているからです。

筋肉は日常生活の中で、どのような場合でも適度に力を働かせ、身体の姿勢を維持させようとしています。

3.熱を発生させる

人はある一定の体温を保てなければ、生きていくことができません。

人の体温は通常37度くらいで保たれるようになっています。それ以下でも生きていられるのは身体がエネルギーを利用し熱を生み出しているからです。

そして、この体温の維持に最も貢献しているのが筋肉です。

4.身体を守る

筋肉がしっかりと付いていることで身体の中にある内臓や骨を守ることができます。

また、ケガをしない為にも筋肉が必要で、筋力が弱い状態だと少しの負荷にも耐えられずケガに繋がることがあります。

5.内分泌器官としての役割

筋肉を動かすと脂肪分解を促進させる物質を分泌します。そして動き続けるためのエネルギーが供給されます。

筋肉が、脳を介さずとも主体的に内分泌を変化させる役割を担っているのです。

筋肉が作られる仕組み

筋肉が作られる仕組み

筋肉は水分を除くと、ほとんどがタンパク質からできています。

タンパク質を構成するアミノ酸の中には、体内で合成できない必須アミノ酸があり、外から供給されないと材料不足になってしまいます。そして、このタンパク質の摂取量が足りないとき、筋肉は分解されます。

また、その筋肉を作るタンパク質は常に分解と合成を繰り返しているのです。そのため、バランスを保つには1日に体重1kg当たり0.8~1.0gのタンパク質が必要とされいます。

例)体重70kgの場合
70 × 0.8 ~ 1.0 = 56 ~ 70g
一日に56~70g。

筋肉を増やす場合には、分解を上回る合成が欠かせないため、通常より多く摂取する必要があります。体重1kg当たり1.4~1.8gが目安。

例)体重70kgの場合
70 × 1.4 ~ 1.8 = 98 ~ 126g
一日に98 ~ 126g。

また、筋肉作りのための栄養補給にはタンパク質の他に糖質があります。糖質を摂取すると血糖値が上がり、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されます。

このインスリンには、筋肉にアミノ酸を運ぶ機能を活性化する働きと合成を補助する役割があり、運動直後にタンパク質と糖質を摂ると筋肉の合成速度が速くなります

タンパク質合成に関係するアミノ酸スコア

筋肥大を効率よく行うためには、摂取するタンパク質の量だけではなく、その質も重要となります。そして、その質を決めるのは必須アミノ酸の配合バランスです。

食品に含まれるタンパク質を評価する指針をアミノ酸スコアといいます。

必要なタンパク質量に対して充足率(じゅうそくりつ)が低い(スコアが低い)必須アミノ酸が1つでもあると、他の必須アミノ酸がいくら豊富でも効果的に合成されません

このアミノ酸スコアが高い食品が肉類・魚介類・卵類・牛乳・乳製品・大豆・大豆製品です。筋肉作りの為には、これらの食材を積極的に摂取することが大切です。

ただし、運動直後は消化吸収に時間がかかるものよりもプロテインがおすすめです。プロテインは吸収されやすく、摂取して1時間ほどでアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。筋肉作りにとって効果的ということです。

筋肉が大きくなる仕組み

筋肉が大きくなる仕組み

今までの一般的な考えでは、筋トレをして筋肉を傷めつけることで成長ホルモンが分泌、そして筋肥大が起こるというのが一般的でした。

しかし、現在では筋肥大のためには、はタンパク質の合成を促進させ、分解を抑制することが重要だと言われています。

激しく筋トレすれば成長ホルモンも分泌され筋肥大が起こりますが、成長ホルモンが筋肥大を起こすわけではないということです。

さらに詳しく説明すると、筋肥大は大きく分けて2つのメカニズムによって起こります。

タンパク質代謝系

一つはタンパク質代謝系。

筋トレを行いタンパク質代謝系を活性化させると合成が分解を上回ります。その状態で肉類・魚介類・牛乳・乳製品・大豆食品などからタンパク質を摂取すると筋肉は厚く太くなります。

※筋肉は常に分解と合成を繰り返して新陳代謝を続けています。通常、分解と合成は、比例しているため見た目は変わりませんが、運動不足・加齢・ゲガなどの原因によって分解が合成を上回り筋肉は細く衰えていきます。

筋繊維再生系

もう一つは筋繊維再生系。

筋肉は細長い筋繊維細胞を束ねたような状態です。筋トレを行うことで筋繊維1本1本が少しずつ太くなり、筋肉全体が大きくなっていきます。

筋繊維は大きく分けると速筋繊維と遅筋繊維の2つあります。速筋繊維は瞬発的に大きな力を出すのが得意で、筋トレを行うと主にこの速筋繊維が発達します。

一方、遅筋繊維は持久的に小さな力を出し続けるのが得意な細胞です。

この筋繊維再生系も主に速筋エリアで活性化されるため、速筋繊維を必要とする動作(高重量のトレーニング)を行うことで活性化されます。難しい説明は割愛しましたが、この2つのメカニズムによってIGF-1に関係し筋肥大に導いてくれます。

IGF-1
IGF-1は成長を促すアミノ酸の並びであり、筋トレなどの機械的刺激で筋繊維自らが分泌します。このIGF-1が分泌されることで、タンパク質代謝系と筋繊維再生系を活性化させます。筋トレをした部位のみ筋肥大が起こるのはこのIGF-1のおかげです。

筋肉が強くなる仕組み(筋力)

筋肉が強くなる仕組み(筋力)

筋肉を効率的に増やすためには、筋タンパク質の合成が分解を上回らなければなりません。そこで有用なのが正しいタンパク質の摂取とレジスタンストレーニングの実施なのです。

レジスタンストレーニング
局所または全身の筋肉に負荷を加えたトレーニング。筋タンパク質の合成を急激に増加させます。(1時間から2時間後に筋タンパク質の合成が安静時に比べて有意になる)

筋肉に強めの刺激を入れると分解が一時的に亢進して筋力がダウンし、その後タンパク質などの栄養と休養を取ることで筋肉の合成が高まり筋力が上がります。

(その際、トレーニング前より少しだけ筋肉は増量されて筋力も回復します。)

これを”超回復”といい、超回復のタイミングで筋トレを実施していくことで筋肉は徐々に増量していきます。

筋トレの強度によって超回復が起こるまでの時間には差があります。

低強度の筋トレ
平均48時間ほどかかるとされている。
高強度の筋トレ
平均72時間ほどかかるとされている。

筋トレ後、最低でも48時間は筋肉の合成速度が高い状態がキープされるため、超回復を有効活用して筋肥大していくにはトレーニング翌日、翌々日の食事も重要です。

また、筋肉を増やすためには、上記のアミノ酸スコアで説明したように「筋タンパク質」を増やすことを忘れてはいけません。

食事で摂取されたタンパク質が消化されると、アミノ酸として血液に取り込まれ、遊離アミノ酸プールという貯蔵庫に保管された後に筋タンパク質を合成するのに利用されます。

筋タンパク質の合成は血液中のアミノ酸の量により刺激されるので、アミノ酸の量が増えれば増えるほど、筋タンパク質の合成が促されるのです。

つまり、筋タンパク質の合成はアミノ酸の量に依存しているということになります。これが「筋肉を増やすためにはタンパク質(アミノ酸)を多くとりなさい」と言われる所以(ゆえん)です。

よく「筋肉を増やすためには食事が大切である」と言われるのは、体内で作れない必須アミノ酸を食事で摂取するしかないからです。

筋肉が落ちるという意味、仕組み

筋肉が落ちるという意味、仕組み

合成にはリボソーム(タンパク質複合体)、分解にはオートファジー系・ユビキチンプロテアソーム系・カルバイン系と、合成がリボソーム1種に対し、分解系は3つも存在します

そのため、過度なダイエット・ストレス・病気になると筋タンパク質の合成作用が低下し、結果、合成よりも分解が進み筋肉は減ってしまうのです。

また、人の身体は元々余計な筋肉を維持しようとする働きがありません。それは、今のように食料が豊富ではない時代に飢餓に備えるために、エネルギーを必要とする筋肉を必要以上に蓄えないように設計されているからです。

このように、筋肉が落ちるのには分解系の仕組みと、本来人間が持っている体の構造にあります。

しかし、元々筋トレをしていた人がケガや気持ちの問題で辞めてしまってもマッスルメモリーが働くため回復も早いとされています。(マッスルメモリーについては、また別の機会で説明します。)

筋力と筋量

筋力と筋量

筋力

筋力とは、身体が発揮できる力です。

最大筋力には、筋横断面積・神経系の機能・筋に占める速筋繊維、の3つの割合が関与しており、微小な筋力から最大筋力まで場面・必要に応じて調節をしています。

これを筋力発揮のグレーディングと呼び、筋力発揮の調節には、動員する運動単位の数による調節・活動電位の頻度が関係します。

どれだけの力を発揮できるかは、「力の発揮の仕方」と「制御能力」が重要で、いかに無駄を少なくし効率よく発揮できるかで筋力は決まります。

効率よく力を発揮するためには、要領よく大きな力を発揮する必要があります。筋量に依存するのではなく効率よく筋肉を使えるようなトレーニングも必要になります。

また筋力が高まると、運動単位の発火頻度(脳から筋肉に向けた信号の速度)も増加していきます。

筋量

筋量とは、筋肉組織の重さです。

20歳くらいまで増加し加齢と共に減少していくとされています。そのため、筋トレを始める年齢によって筋量の増加スピードに差が生まれ、年齢が若いほうが一般的には量が増すことになります。

より筋量を増やすためには、食生活が重要であり、減少を防ぐには筋トレを行っていない人でも適度の運動を行う必要があります。また、筋量は姿勢を保ったり動作を正常に行う上で重要な役割を果たしています。

筋量・筋力、発達の違い

筋量・筋力、発達の違い

筋量と筋力の間には密接な関係があります。

筋量は身体の内部に負荷をかけて力を発揮することができますが、筋力はその筋量を使って外部に力を発揮させていく必要があり、この二つは似て非なるものです。

例えば、筋量アップは、目的となる筋肉にピンポイントで負荷をかけるため、反動や代償動作をなるべく行わないことが重要です。

一方、筋力アップには、全身の力で身体を連動させ、反動を使って全力で行う動作が重要になります。

このように、筋量を挙げるための筋トレと筋力をあげるための筋トレは方法が異なります。

どちらを鍛えればいい?

どちらを鍛えればいい?

どちらを鍛えればいいかについて状況と目的によるため一概には言えません。先ほど説明したように、双方には密接な関係があります。

筋量は身体を動かすエンジンみたいなもので、筋力を必要とするパワー系の種目でも一定の筋量が必要です。そのため、どちらかだけという選択は難しいものがあります。

簡単に例えるとするならば、ボディビルのようなボリューム重視の種目であれば、筋量を鍛えるトレーニングが必要であり、パワーリフティングのような種目であれば筋力を鍛えるほうが優位になります。

ですので、どちらを優先すべきかは、どういった種目になるのかが鍵となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

少し難しい内容となってしまいましたが、何度か読み直していくと少しずつ理解できると思います。

筋肉が何故太く、そして細くなるのか。筋肉とは一体どういったものなのか。筋肉についてなるべく簡単に説明させていただきました。

トレーニングをされている方にも、そうでない方にも参考になれば幸いです。

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カテゴリ:知識

取材・この記事を書いた人

投稿者・寄稿者
御厨 広志 (mikuriya)

某スポーツクラブのチーフトレーナーを経てジュニア、プロアスリートへの指導業務にも従事。科学的根拠に基づいた指導と機能的で動ける身体作り・痛みを出さない身体作りを得意とするパーソナルトレーナー。


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