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2019年東京ボディビル選手権の観戦レポート!

2019年東京ボディビル選手権の観戦レポート!


ライター

8月25日に行われました2019年の第54回東京ボディビル選手権大会のレポートです。

こんにちは。
減量していたらようやくカレーを食べたい気持ちが薄れてきました。HAYAOです。

去る8月25日、今年度の東京ボディビル選手権が行われ、私も観戦して参りました。今大会は開催前から話題性に溢れ、大変に盛り上がった大会だったと思います。

今回のレポートでは
・そもそも東京選手権とはどういった大会であるのか
・今回の大会の注目点とは?
というところに着目しつつ、大会結果についてご紹介したいと思います。

JBBF東京都選手権の歴史

東京都選手権はその名前のとおり、JBBF東京都連盟主催の地方大会で、階級も年齢も関係ない東京連盟所属なら誰でも出られる大会です。

今年で第54回を数える伝統の大会で、地方大会のなかでも最もハイレベルな大会と言われています。

54回の優勝者のなかには、そうそうたる面々がこのコンテストでの優勝からボディビル界のスターダムを駆け上がっていきました。

有名どころでは、末光健一氏や朝生照雄氏、小沼敏雄氏、谷野義弘氏、鈴木雅氏のような日本チャンピオンや、マッスル北村こと北村克己氏、ビーフ佐々木こと佐々木晋氏、現IFBBPROのBIG HIDEこと山岸秀匡氏などがいらっしゃいます。

末光選手、鈴木選手

右:末光健一氏 左:鈴木雅選手

他にも東京ボディビル選手権で優勝した経験があるのは、
・日本選手権トップ常連の須山翔太郎選手やゴリ高梨こと高梨圭祐選手
・脚男こと佐藤茂男選手
・昨年惜しまれながら引退したジャガ佐藤こと佐藤貴規
・上野の名門ジムサンプレイの宮畑会長
などがいらっしゃいます。

須山翔太郎選手

須山翔太郎選手

最近では昨年日本チャンプ鈴木雅氏にあと一歩のところまで迫った横川尚隆選手の優勝も話題になりました。

横川尚隆選手

横川尚隆選手

今年の話題は相澤隼人選手!

今年の東京選手権で話題となったのは、なんといっても相澤隼人選手の参戦でしょう。

相澤隼人選手は1999年10月21日生まれの19歳。

相澤選手のこれまでの実績
●高校時代には高校選手権と日本ジュニア選手権(23才以下)の同時優勝
●世界ジュニア選手権で実質一階級上の選手たちを相手にしての上位入賞
●全日本学生選手権での優勝

日本のボディビル界においては前述の横川選手と並び、最も注目されている選手と言えます。

東京ボディビル選手権の前より、今年の相澤選手は東京ボディビル選手権で上位を狙い、日本クラス別選手権、そして日本選手権へ参戦するつもりであるということが明らかになっていました。

昨年度の全日本学生選手権で見せた彼の肉体は日本選手権トップ12と並んでも引けを取らないであろうと思えるほどでした。

その成長速度とも合間って、今年の相澤選手がどのような身体で舞台に登場するのか、地方大会のなかでも最もハイレベルと言われる東京選手権でどのように評価されるのか、大いに話題となりました。

相澤選手以外にも注目選手は多数

相澤選手の参戦に注目が集まりがちでしたが、他の選手もトップ中のトップ選手です。

2017年、2018年と連続で2位に入っている白井大樹選手は物凄く細いウェストに対して太い脚と広い背中をもち、アブドミナル&サイのポーズではまさに砂時計のようになります。

外国人ビルダーのオスカー選手も一級品のバルクとプロモーションで上位に入ってくると思われましたし、アジア選手権の65キロ以下級で優勝している内田選手もいます。

その他、昨年度の7位で急成長中の三井選手にも注目していました。

大会ハイライト

ボディビルの審査はピックアップ(比較審査)→予選審査(比較審査)→決勝審査(フリーポーズ審査)の順番で行われます。

今年の東京ボディビル選手権にエントリーしたのは欠場者を含めて45名(欠場・オープン参加が合計5名だったと思うので実質40名)。

ピックアップ(比較審査)

最初に40名が一同に介して規定ポーズをとっていき、誰を残すかを審査し、当落線上の選手のみが抽出されて規定ポーズで比較されます(ピックアップ)。

二回のピックアップで下位と見られた選手が落とされ、最終的に12名に絞られます。

以下が残った12名の選手です。

石井選手
河野選手
相澤選手
野中選手
小野選手
土金選手
林選手
三井選手
加瀬選手
オスカー選手
白井選手
外村選手

予選審査(比較審査)

この12名は全員で二回ずつ規定ポーズをとったあと、少人数ずつ抽出されて規定ポーズをとっていきます(予選審査)。

この抽出がされる際、上位陣から順番に抽出されていくとされ、最初に抽出されたメンバーや抽出されること自体をファーストコール、以下セカンドコールサードコールと呼ばれます。

今大会のファーストコールは
オスカー選手、三井選手、相澤選手、白井選手、石井選手、外村選手

ファーストコール

ファーストコールの6人。 左から、オスカー選手、三井選手、相澤選手、白井選手、石井選手、外村選手

セカンドコールは
小野選手、相澤選手、白井選手、オスカー選手、石井選手

セカンドコール

セカンドコールの5人。 左から、小野選手、相澤選手、白井選手、オスカー選手、石井選手

サードコールが
河野選手、土金選手、小野選手、野中選手、林選手、加瀬選手
でした。

サードコール

サードコールの5人。 左から、河野選手、土金選手、小野選手、野中選手、林選手、加瀬選手

このサードコールまでで12人全員が呼ばれ、上位から下位までの一通りの比較が終わったかに見えましたが、最後にもう一度、比較が行われました。

ラストコールで抽出されたのは
白井選手相澤選手三井選手の三人。

観客席から観ても、実質的なトップ3であることは明確であり、この日の審査で最も盛り上がった瞬間といっても過言ではなかったと思います。

ラストコールの3人

ラストコールの3人。 左から白井選手、相澤選手、三井選手

その後は12名が順番に曲に会わせて行う1分間のポージング、フリーポーズ審査が行われ、比較審査とフリーポーズ審査の合計で順位が決まります。

大会結果

東京ボディビル選手権
東京ボディビル選手権の順位
1位 相澤 隼人
2位 白井 大樹
3位 三井 一訓
4位 ウバジャオスカジュードオニカ
5位 石井 輝男
6位 外村   修
7位 小野 善行
8位 土金 正巳
9位 河野 智洋
10位 加瀬 幸男
11位  林 勇宇
12位 野中 直紀
   

1位は文句なしの相澤選手

相澤選手

1位に入ったのはやはり相澤選手。須山翔太郎選手の持つ最年少優勝記録「22歳」を大きく更新する、若冠19歳での優勝でした。

彼の筋肉は全て今大会出場者のトップレベルにあったと思いますが、特に凄かったのはなんといっても下半身の安定感であったと思います。

私の席は少し端の方だったのでフロントポーズでも少し斜めに見えたのですが、そうすると彼の臀部の張り出しが他の選手と比べて大変に秀でているということがよくわかりました。

もちろん全身の筋肉が大きく仕上がりがよいので、その素晴らしい下半身に上半身も負けておらず、文句のない完全優勝であったと思います。

2位は3年連続の白井選手

白井選手

2位には白井選手が入りました。三年連続の2位です。

白井選手の身長は178cmで、日本のボディビル界ではかなり身長が高めの選手です。なんといってもウェストが細く、それに比して腕・脚・胸のバルクは大変なものです。

上述のとおり、アブドミナル&サイでは砂時計のようになりますし、フロントラットスプレッドにおける広がりも素晴らしいものがあります。

下半身、特に背面の充実度で相澤選手に勝利を譲った形となったと思いますが、太腿四頭筋は丸く、私にとっては相澤選手よりも好きなタイプの大腿四頭筋でした。

3位は素晴らしい腹筋の三井選手

三井選手

3位に入ったのは三井選手です。昨年度から大きく順位をあげました。

彼の肉体で最も特筆すべきは腹筋です。腹筋に関しては今大会出場者中No.1と言ってもいいでしょう。

デビュー時からその腹筋は目を見張るものでしたが、その厚み・仕上がり・ディテール、すべて年毎に進化しています。

腹筋が注目されがちですが、十分に仕上がった肉体と各部位の丸い筋肉がプロポーションをよく見せるとともに、その独特なステージ上での迫力と合間って、非常に舞台映えのする選手です。

また、「今回初めて三井選手のことを知ったが、こんな選手がいたのか!と驚いた」という声も聞かれました。相澤選手とはまた違った意味で、今回の大会で最も評価を上げた選手かと思います。

4位 オスカー選手

オスカー選手

昨年の3位より、順位を落としました。全身のバルク、特に下半身については三井選手白井選手より上で、仕上がりもよかったと思います。

例年と比べて気迫も伝わってきましたが、ポーズに癖があるために評価を下げた形に見えました。

5位 石井選手

石井選手

今年のアジア選手権65kg以下級のチャンピオンであり、日本クラシック選手権162cm以下級でも優勝しました。

背中は決勝進出者のなかでもトップ中のトップで、下半身も素晴らしいです。

6位 外村選手

外村選手

彼も白井選手と同じく178cmと身長も高く、プロポーションやアウトラインがよい、まさに「THEボディビルダー」という身体をしています。

ボディビルを見たことがない人が観戦していたとして、最も「格好良い選手」を選ぶとしたらこの人になるのではと思います。

7位 小野選手

小野選手

小野選手は、非の打ち所の少ない選手です。

全身の筋量、厚み、広がり、仕上がり、プロポーションで下位の選手を引き離した形かと思います。

8位 土金選手

土金選手

昨年度の50歳以下級のチャンピオンです。凄まじい仕上がりで、決勝進出者のなかでも河野選手と並んで最も絞れた選手であったと思います。

腕や脚が長く、仕上がりに加えてプロポーションが評価されたものと思います。

9位の河野選手とは同点で、彼の方を上位につけた審査員の人数が多かったために上位となりました。まさに僅差の勝利でした。

9位 河野選手

河野選手

今年の日本クラシック選手権165cm以下級チャンピオンです。

ものすごい仕上がりでした。今大会で最も注目されたのは相澤選手ですが、その隣でポーズをとる河野選手の遠くからでもわかる圧倒的な絞りに目を奪われた観客も多かったのではないかと思います。

決勝のフリーポーズでは彼を6位につけた審査員もいました。

10位 加瀬選手

加瀬選手

プロポーションのよさと、迫力のあるステージング、代名詞のようなバキュームポーズで観客席にインパクトを与えました。フリーポーズも圧巻です。

相澤選手の今後について

相澤選手は、今回の優勝により日本選手権への出場権を獲得しました。

9月22日に行われる日本クラス別選手権を経て、いよいよ日本選手権への挑戦となります。

今年の日本選手権では、昨年度9連覇を達成したディフェンディングチャンピオンの鈴木雅選手が既に欠場を表明しています。

今回の東京選手権での相澤選手の身体であれば、日本選手権決勝進出もあり得ない話ではありません。むしろ当たり前に決勝まで残ると見る向きもあるでしょう。

日本選手権決勝常連組には、昨年鈴木選手をあと一歩まで追い込んだ横川選手をはじめとして、日本チャンピオン経験者の田代選手や合戸選手、近年トップに定着している須山選手など、そうそうたる面々が待ち構えています。

田代誠選手・合戸孝二選手

左:田代誠選手 右:合戸孝二選手

そういったトップ中のトップとの戦いで彼がどのように評価されるのか。一気に優勝に絡むところまでいってしまうのか。日本ボディビル界での大きな話題となるでしょう。

また、日本選手権の前に、神戸で行われる日本クラス別選手権へも出場予定とのことです。

今年の日本クラス別選手権は世界選手権の予選大会となっており、こちらにもそうそうたる選手の出場が予定されています。

相澤選手は70kg以下級に出場予定ですが、同階級には上述した田代選手と合戸選手という二人の元日本チャンピオンが出場予定。

さらに日本選手権トップ12常連の加藤直之選手や須江正尋選手、昨年惜しくもギリギリの勝負

で日本選手権決勝進出を逃した松尾幸作選手などが出場予定です。

日本選手権の前哨戦というにはもったいない、ハイレベルな戦いが行われることは間違いありません。

須江正尋選手・加藤直之選手

左:須江正尋選手 右:加藤直之選手

三井選手の今後について

一方、今大会で相澤選手と熱い戦いを演じた三井選手は9月8日のジャパンオープンに出場した後、日本クラス別にも75kg以下級で出場します。

ジャパンオープンは誰でも出られる全国大会ですが、今年は出場選手数が少なく、上位入賞が期待されます。

ジャパンオープンと日本クラス別の75kg以下級には、 ・西日本選手権の覇者村上勝英選手
・九州の雄、嶋田慶太選手
・究極の絞りを誇る仲泊選手
・隼人選手の実兄である相澤飛鳥選手
など、そうそうたる面々が出場予定で、こちらもハイレベルな戦いが行われることは間違いありません。

村上選手・嶋田選手・仲泊選手

左:今年の西日本チャンピオン、村上選手
中央: 九州の雄、嶋田選手
右: 沖縄のバリバリ伝説 仲泊選手

来年以降の東京選手権について

榎本選手

榎本選手

実は今年、相澤選手と同い年の選手でもう一人、注目された選手がいました。東京クラス別の75kg超級で優勝した榎本選手です。

昨年度の日本ジュニア選手権でデビューし準優勝した選手ですが、その全身の筋肉量は10代にして日本トップレベルの選手たちにも引けを取りません。

残念ながら東京選手権は欠場となりましたが、彼も今年、日本選手権に出場予定とのことです。

もし来年改めて東京選手権に出場することとなれば、白井選手や三井選手とならんで、大きな注目を集めることとなるでしょう。

最後に

相澤選手、三井選手など、成長速度著しい選手たちの熱い戦いにより盛り上がりを見せた東京ボディビル選手権。

最もハイレベルな地方選手権の名にふさわしい内容であったと思います。今大会を盛り上げた選手たちの今後の活躍が非常に楽しみなところです。

以上、HAYAOがお送りいたしました。

カテゴリ:知識
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取材・この記事を書いた人

投稿者・寄稿者
駿 (Hayao)

ボディビルライター。普段は事務員をしながらトレーニングを行い、コンテスト出場と観戦を趣味としています。学生時代に全日本学生選手権で2位、ベンチプレスではジュニア日本記録(ノーギア)を保持。目標は、横川尚隆に『僕よりかっこいい身体をしている』と言わせること。


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