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スクワット後に起きる腰痛の原因と改善策

スクワット後に起きる腰痛の原因と改善策


ライター

トレーニングにおいてスタンダード種目の「スクワット」。筋力、筋量アップにもダイエット目的にも最適な種目ですが、適切な動作で行わないと逆効果をもたらすこともあります。今回は、スクワットで起きる腰痛の原因と改善策について説明します。

下半身を鍛える種目として代表的な種目のスクワットです。このスクワットは簡単そうに見えて、実は身体全体を使うすごく難しい種目なのです。

また、難しいが故に身体を痛める方も多く身体の使い方・フォームを正しく行わなければ逆効果になってしまうこともあり、実際に正しい動作で行えていないことで痛みを感じる方もよく見かけます。

今回は、トレーニングにおいてとても重要なスクワットで起こる腰痛の原因と改善策について説明します。

腰痛がおきる原因

スクワットを行う際に起きる腰痛の一番の原因は、腰が反った状態で行っているケースです。

腰が反っているということは、体幹を安定させる為に必要な腹圧(IAP)を高めることが難しくなり、うまく力をいれることができない状態になってしまいます。結果、上半身と下半身を連動した動きが難しくなることで、腰への負担が増してしまうのです。

また、この腰が反っているスクワットは腰の上下に位置する胸椎股関節の可動域も狭くなっていることも多く、腰を必要以上に使って上下するため負担が余計腰にかかります。これも腰痛になる原因です。

その他、スクワット動作を行う際に膝を中心に使った動きを行っている方をよく見かけますが、この場合は膝に過重が掛かり骨盤が後傾しやすくなります。結果、腰の筋肉が引っ張られた状態になり腰へ負担がかかることで痛みに繋がることもあります。

腰が反ったスクワット
腹圧に力が入らない ⇒ 腰への負担が増す
胸椎、股関節の可動域が狭くなる ⇒ 腰の筋肉が引っ張られた状態になる ⇒ 腰への負担が増す
膝を中心(優位)に使った動きになる ⇒ 骨盤が後傾しやすくなる ⇒ 腰への負担が増す

原因に対する処置方法

上記で説明したように、腰痛がおきる主な原因は以上の3つです。この原因への対処法を一つずつ説明していきます。

1)腹圧が抜けたケース

腹圧を高めるポイントは、肋骨を締めることです。

肋骨を締めることで、体幹の安定性に関与している横隔膜を正しく働かせることができ、体幹上部の蓋のような役割をしている横隔膜が働くことで腹圧を高めることができます。

また、腹圧が高まると腰にベルトを巻いたような状態を作ることができるため、腰の負担を軽減することができます。

2)胸椎と股関節の可動域不足

腰(腰椎)の上下に位置する胸椎と股関節は、動いていく中で可動性が必要な部位であり、腰は安定性が必要な部位です。

猫背など姿勢の悪い状態で動いていると、胸椎や股関節の動きが悪くなり、胸椎と股関節の可動性が低くなり、その結果その可動性を補うために腰を必要以上に動かすことで可動性を確保しようとします。

このような状態になると、安定性が必要な腰を必要以上に使って動くため、腰への負担が蓄積していきます。そのため、猫背にならないように注意しなければなりません。

3)膝優位の動き

先程も出てきましたが、部位によって可動性が必要な部位と安定性が必要な部位があり、膝も安定性が必要な部位のため、上下に当たる股関節と足関節の可動性を確保していく必要があります。

また、一般的にスクワットの際に膝をつま先より前に出さないようにと言われているようですが、身体を効率よく鍛えるためには足裏を地面に着き体重をしっかりと乗せた状態で足関節と股関節が動くことが重要です。

結果、仮に膝が前に出たとしてもその方が力発揮をスムーズに行うことができるようになります。

具体的な対策

具体的な対策

それぞれの動作によって起こる腰痛の原因への具体的な対策は以下のようになります。

1)腹圧が抜けたケース

腹圧の抜けた状態の改善する場合は、まず呼吸の正常化が重要です。

呼吸の乱れを正しく改善することで、肋骨が正常に動くことで呼吸も深くなり、しっかりと吐き切ることができます。結果、肋骨が締まった状態に改善することができます。

また、肋骨を締めれる状態に戻した後に体幹周りの筋肉を活性化することで、より肋骨が締まった状態を作り腹圧を高めることができます。腹圧を高めることが容易にできるようになればスクワット時の腰痛の改善に繋がります。

2)胸椎と股関節の可動域不足

腰の上下に位置する胸椎と股関節の可動域不足の改善には、まず単純に胸椎と股関節の可動域を向上していくことが必要です。

可動域を確保でき、体幹部の安定性も高められればスクワット時の腰痛の改善に繋がります。

3)膝優位の動き

膝優位の動きが原因で腰痛に繋がっているケースは、スクワット時の動き方を変えていく必要があります。

スクワット時の下半身の正しい動作は、股関節と足関節の可動性と膝関節と足部の安定性の獲得することです。

この場合、可動性が必要な部位は柔軟性を向上させるエクササイズを行い、その後自分の力でその柔軟性をコントロールできる状態へと鍛えていくことが重要です。

安定性が必要な部位は、足裏を3点(母指球・小指球・踵)に均等に体重をしっかりと乗せた状態で足部を安定させ、膝関節を安定して動かしていきます。

まとめ

スクワットは、下半身の種目としては同時に下半身全体を鍛えることができるので効率の良い種目ですが、その反面、身体を痛める方も多く身体の動き方などに注意が必要です。

今回説明した内容は、初心者の方にとっては想像しにくく取り入れにくいかもしれませんが、一つひとつのポイントをじっくり読んでいただき理解した上で取り入れてもらえれば腰痛の改善に繋がると思います。

まずは、自分の身体で試してみてください。

カテゴリ:知識

取材・この記事を書いた人

投稿者・寄稿者
御厨 広志 (mikuriya)

某スポーツクラブのチーフトレーナーを経てジュニア、プロアスリートへの指導業務にも従事。科学的根拠に基づいた指導と機能的で動ける身体作り・痛みを出さない身体作りを得意とするパーソナルトレーナー。


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