痩せない人はなぜ痩せられないのか
目次
そもそも痩せるとは
あなたにとっての「痩せる」の定義はなんでしょうか。
- 1.脂肪を燃焼して体重を減らす
- 2.筋肉を落として体重を減らす
- 3.脂肪と筋肉の両方を落として体重を減らす
どれも痩せるという意味では同じですが、”健康的に痩せる”ことを目的とするのであれば2や3の”筋肉を落として痩せる”ことはお勧めしません。それはなぜか。今回は痩せるをテーマに詳しく解説します。
あなたが痩せない理由
食事が原因で痩せない人の特徴。
カロリー計算ができていない
今ダイエットをしているあなたは、1日に何キロカロリーとっているか把握していますか?
「食べてないのに」、「量を減らしてるのに」のに痩せないと思っていませんか?
実はこういう方の多くが、量ばかりを気にして摂取カロリーのことを全然理解していません。
痩せるには消費カロリー>摂取カロリーが大原則です。なんとなく食べる量を減らした食事を取っていると、摂取カロリー>消費カロリーという日も出てくるため体重の減少が停滞することや体重が増えてしまう場合も出てきます。
本当に痩せたいと思うのであれば、「今日一日に何キロカロリー摂取したのか」これは最低限把握しておくべきです。
食べるべき食材を選んでいない
例えば2000キロカロリーを取るにしても、食材の内容によって体重の減り方は変わってきます。(ここでいう食材とはタンパク質、炭水化物、脂質の三大栄養素。)
少し極端な例ですが、2000キロカロリーをタンパク質のみ・炭水化物のみ・脂質のみでそれぞれ摂取した場合だと、1タンパク質>2炭水化物>3脂質の順に体重は減りやすくなります。
これはDIT(食事誘発性体熱産生=摂食後に起こる代謝)が関係しているからです。
摂取された食材は吸収されるまで、消化に必要なエネルギーが消費され体熱が発生します。つまり、“摂取カロリーは同じでも吸収されるカロリーは異なる”わけです。
炭水化物や脂質に対し、タンパク質はDIT(代謝)が多くなるため体重は一番減りやすくなります。具体的な数値で言うと摂取したカロリーのうちタンパク質は30%、炭水化物は約5%、脂質は約4%が吸収するためのエネルギーとして消費されます。
ですから脂質や炭水化物ばかりのものを食べてダイエットをするのではなく、“タンパク質が多めの食事“に変えてあげる必要があります。
では、実際に摂取カロリーの内訳として、タンパク質、炭水化物、脂質はどれくらいの割合で取れば良いのでしょうか。
それぞれの適切な割合
私のとしては、摂取カロリーの20%をタンパク質、10%を脂質、70%を炭水化物から取ることをオススメします。
炭水化物や脂質を完全にカットしてしまわないのは、エネルギー不足や脂溶性ビタミンなどの微量栄養素をしっかりと摂取するため。
具体的に食材ごとのタンパク質、炭水化物、脂質の量を調べるには、「食品成分表」という本を買って調べるか、SLISMなどのサイトで食材の名前を検索すると食品に含まれる三大栄養素の量がわかります。
また、食材を包装しているパッケージの裏には「栄養成分表示」としてそれぞれの栄養素が記載されているのでそちらを確認するのも良いでしょう。
以下が栄養成分表示の具体例とカロリーに対する割合です。自分で計算する場合、以下の方法で詳しく知ることができます。(自分で計算するのが面倒な方はアプリがおすすめです。)
- ※栄養成分表示(100gあたり)
- エネルギー 約100kcal
- ①タンパク質 5g (1gあたりのカロリー4kcal)
- ②脂質1g (1gあたりのカロリー9kcal)
- ③炭水化物 18g (1gあたりのカロリー4kcal)
- ※それぞれカロリーに直すと
- ①タンパク質 20kcal
- ②脂質 9kcal
- ③炭水化物 72kcal
- ※それぞれを割合に直すと
- ①タンパク質 20%
- ②脂質 10%
- ③炭水化物 70%
という計算になります。具体的なメニューに関しては、また別の機会に解説します。
食べるタイミングが適切でない
三大栄養素を摂取するタイミングも重要になってきます。一日に同じカロリーを摂取するにしても「ここは多めに摂った方が良い。ここは少なめにした方が良い」タイミングがあります。
- ■炭水化物
- 〇多めに摂取すべきタイミング ⇒ 朝食とトレーニング後
- ×多目に摂取すべきでないタイミング ⇒ 夕食時
- ■脂質
- 〇摂取すべきタイミングと量 ⇒ 朝食と昼食時に量を均等に
- ×多目に摂取すべきでないタイミング ⇒ 夕食時
- ■タンパク質
- 朝、昼、晩、量を均等に
食事で痩せない人は、以上ことが原因として考えられます。食べ方、食べる内容と量を減らすだけでは健康的なダイエットはできません。まずは食事から見直してみましょう。
運動をしても痩せない
単純に摂取カロリー>消費カロリーだと、がむしゃらに運動するだけでは効率の良いダイエットはできません。運動の種類・運動レベル・運動量の3点にも着目しましょう。
運動の種類
運度には有酸素運動と無酸素運動があります。有酸素運動のウォーキングやランニングの際に消費されるエネルギーは主に体脂肪から捻出されます。
一方、無酸素運動の筋トレの際に消費するエネルギーは主に炭水化物です。
有酸素運動だけすれば良いというわけでもありません。筋トレを総合的に見ると大きなメリットが2つあるのです。
- 痩せやすい体になる
- 運動をしていなくても筋肉がつくとエネルギーが多く消費されるようになり痩せやすい体質になります。有酸素運動だけでは運動の時間以外はエネルギーが消費がされにくくなります。
- 引き締まった体を作ることができる
- ただ、やせ細ってしまうのではなく筋肉を付けることでメリハリのある引き締まった体を作りやすくなります。(女性の場合は起伏のあるお尻、男性は胸板のある引き締まった体。)
痩せやすい体を作り、筋肉を増やすには?
運動レベル(強度)も筋肉を増やすために大切です。
筋肉量を増やすポイントの1つとして、少しずつ重りの負荷と回数を上げていく方法があります。
例えば20kgのスクワットを10回3セットできたら、3~4日後にスクワットをする場合、同じ20kgでも回数を増やして12回3セットを行う。
または重量を2.5kg増やし、22.5kgで10回行うなど、前回の重量、または回数を少しずつでも超えていくことが筋肉を増やすために重要となります。運動も食事と同じで、自分がどの種目を何kgで何回やったのかをメモしておくこともおすすめです。
※メモはめんどくさいですが、やる以上の効果はあります。また、トレーナーに相談するときも実際に正しい運動をしているのかどうか判断してもらいやすくなります。
※ボディビルダーのような体つきになりたくないという方もいますが、なろうと思っても本気でトレーニングと食事を行わい限りなかなかなれるものではありません。ふつうの人は筋トレをすれば引き締まった体になる程度なので安心してください。
運動量について
運動レベルと重なる部分がありますが、筋トレでもウォーキングでも毎回の運動でどれくらいの運動量をこなしているのかを把握することは重要です。
日によって運動量が変わっていると体重の減り方も一定ではなく上がったり下がったりしてしまうため、モチベーションが保てなくなる可能性も出てきます。
そうならないためにもウォーキングをどれくらいの速さで何分したのかということを筋トレ同様メモしておきましょう。
痩せるためのメカニズム
難しい説明をする前に、ここまで運動と食事について痩せない原因と対策について説明してきましたが、そもそも痩せるとは一体どういうことなのか。具体的なメカニズムについても説明します。
脂肪が燃える?燃焼の意味とメカニズム
CMや広告で脂肪燃焼という言葉がよく使われていますよね。そもそもこの燃焼とはどういう意味でしょうか。燃える?焼く?焼ける?言葉だけだと想像できないと思います。
まず簡単に説明しておくと当たり前のことですが、身体の中で実際に燃えているわけではありません。燃焼とは分解という意味です。
分かりやすく説明すると、この分解というのは食べ物などで摂取したエネルギーが不足したときに体脂肪をエネルギーとして使われるときのことを指します。
これが分解、つまり燃焼するという意味です。分解という言葉ではなく、燃焼という言葉が多様されている背景には広告などの影響が関係しているのかもしれません。
体は、エネルギー不足を認識することで脂肪を燃焼させます。このエネルギー不足を体に認識させるには摂取カロリーを減らすこと、消費カロリーを増やすことの2つあるのでどちらかの方法を合わせてダイエットしていく必要があります。
効率的に健康的に痩せるには食事と合わせて筋トレも
栄養価を考えた食事と筋トレを併用したダイエットは、筋肉を維持しながら減量ができるためダイエットを続けやすくなります。
反対に何も食べない、筋トレをしない減量になると体脂肪も減りますが、それと同じくらいの割合で筋肉も減っていくため痩せにくい体になってしまいます。
そのため、効率的かつ健康的に痩せるためには食事と合わせて筋トレも取り入れることをおすすめします。
それぞれのニーズと状況に合わせた痩せるためのアドバイス
人によっては、運動をする時間がない、外食が多いなど痩せたくても難しい状況の方もいるかと思います。
そういった方のために状況に合わせたダイエット方法と「こうやって痩せたい」などニーズに合わせた方法を紹介します。
1.しっかり食べて痩せたい
しっかり食べて痩せるには、しっかり運動をして消費カロリー>摂取カロリーにしてあげましょう。
食べる時間も朝食やトレーニング後にすれば極端に炭水化物を減らさなくても体重は落ちていきます。消費カロリーを多くするには、摂取カロリーの管理が大切です。
先ほど紹介したアプリを活用すると簡単に管理することができます。まずは、自分の基礎代謝量(1日の消費カロリー)を把握しておきましょう。基礎代謝に加え運動して消費したカロリーを摂取カロリーが上回らなければ脂肪燃焼効果が期待できます。
- 基礎代謝量計算ツール
- https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228736
2.運度をせずに痩せたい
運動をせずに痩せるには消費カロリーを減らしていくしか方法はありません。
この方法でダイエットする場合は、摂取カロリーを体重×35をして出てきた数値からダイエットを始めます。タンパク質・炭水化物・脂質の割合はそれぞれ2:7:1を目安にします。
体重が55kgの人ならば55×35=1925キロカロリーを1日の摂取カロリーとします。
この場合のタンパク質を96g、炭水化物を336g、脂質を21gという配分にします。
炭水化物と脂質の取り方については前述した通り夜間に多く摂ることは避けましょう。
3.お酒を飲みながら痩せたい
お酒は一緒に摂取した炭水化物を脂肪に変えやすくする働きを持つので、晩酌の時に飲むお酒は炭水化物の入っていない蒸留酒(焼酎、ウイスキー)すること。
炭水化物の入った食材(米、お好み焼き、天ぷら)などとは食べないようにすれば、お酒を飲みながら痩せることは可能です。※締めのラーメンなど油を多く含む麺類も避けましょう。
状況に応じたダイエット法のアドバイス
1.自炊ではなく外食やコンビニで食事をしなければならない時
コンビニ食でダイエットをする場合は、揚げ物ではなく”サラダチキン、おにぎり、パック詰めされた焼き魚”などを成分表を見ながら脂質の少ないものを選ぶと良いでしょう。
成分表を気にしながら食材をを見てみると、この他にも食べても良いものが結構見つけられるはずです。
居酒屋などで食事をしなければならない場合は、主に肉や魚介類などの脂肪分の少ないタンパク質が多く含まれる食材を食べていくと良いでしょう。
2.食欲が抑えられない時
どうしても食欲が抑えきれなくて、ドカ食いしてしまう人は食べてしまっても構いません。
ただし何か食べる場合は、めちゃくちゃ美味しいと感じるものをたくさん食べるようにします。そこまで満足感の得られないものを食べてしまうと、例え満腹でも満足できずドカ食いが連日続いてしまうケースもあります。
めちゃくちゃ美味しいものを食べると満足感がでて、それが満腹感にもつながりドカ食いを必要最低限に抑えることができます。
ドカ食いをする場合は、安く手に入るものは食べず、かなり奮発するくらいの気持ちで美味しいご飯屋さんにいきましょう!
そしてドカ食いをする原因は食べるもの抑え過ぎたり過酷なダイエットをしていた可能性が高いので、ドカ食いをした後は今までのダイエットの食事をしっかりと続けられるレベルまで緩めてあげましょう。急がば回れです。
3.運動の時間がなかなか取れない時
運動の時間がなかなか取れない場合はエスカレーターを使わずに階段を使うようににするなど普段の生活でなるべく動くようにしてください。
まとめ
今からダイエットを始める場合以下のポイント
- 摂取カロリーを体重×35で出てきた数値からスタートする
- タンパク質、炭水化物、脂質の割合は2:7:1にする
- 炭水化物は朝とトレーニング後に多めに摂るようにする
- 脂質は夜に多く取らないようにする
- 体重が減らなくなってきたら運動量を増やす、それでも減らなくなってきたら炭水化物の量を30~50gずつ減らす
- 体重が停滞した場合でも4日は様子を見る
- 筋トレと有酸素運動は併用して行う
- 運動と食事の記録を取る
- 運動のレベルは少しずつ上げていく
痩せたいのに中々痩せられないという方、正しい痩せ方を知ると少しの努力でも十分痩せられることがお分かりいただけたと思います。
ただ痩せるだけであれば、食べなければいいのですが、それでは逆に体に悪いだけです。リバウンドもしやすくなります。健康的に効率の良い方法で痩せることができれば継続もしやすくなります。
まだ全然効果が出ない方は、少しの努力で大きな効果も期待できます。本気で痩せたいと思う方は、是非今日から以上でアドバイスした内容を少しでもいいので取り入れてみませんか?
取材・この記事を書いた人
通称パクチー大原。フリーのパーソナルトレーナーとして活動中。TwitterやYOUTUBEで「『こうすればもっと早く筋肉をつけられるのに‼️ダイエットができるのに‼️』という過去の自分に教えたい筋トレ&ダイエット情報」を発信している。2023年の東京ボディビル選手権で優勝します。
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あなたにとっての「痩せる」の定義はなんでしょうか。今回は痩せるをテーマに詳しく解説します。