ヒップスラストはお尻に効く?その効果と正しい方法
ヒップスラストをご存知でしょうか?
お尻を鍛えるための種目なのですが、基本的に女性がこの種目を取り入れていることが多いようです。
女性はヒップアップを目的としてこの種目をよく行なっていますが、そもそもヒップスラストは大臀筋を鍛えるヒップアップの種目として有効なのでしょうか。
今回は女性に人気の種目、ヒップスラストのトレーニング効果への考察をしていきたいと思います。
そもそもヒップスラストとは?
画像のようにベンチに背中を乗せた状態から股関節の屈曲と伸展を行いバーベルを上げ下ろしする種目です。おしり(大臀筋)の機能が股関節の屈曲であるため、大臀筋の働きに則った種目になります。
ヒップスラストのメリット
ヒップスラストの一番の特徴としては大臀筋が最も収縮する位置(股関節伸展時)で最も大きな負荷がかかる種目であることです。
POF法というトレーニング種目を分類する考え方では、全てのトレーニングは以下の3つに分類されます。
- 1つ目
- 動作の前半、または対象とする筋が引き伸ばされている時に最も大きい負荷がかかるストレッチ種目(ダンベルフライ、インクラインカール、トライセプスエクステンションなど)
- 2つ目
- 動作の中盤、筋肉の長さが通常時の長さの時に最も大きい負荷がかかるものをミッドレンジ種目(ベンチプレス、スクワット、デッドリフトなど)
- 3つ目
- 動作の後半、筋肉が最も短く収縮した位置で負荷がかかる種目のことをコントラクト種目といいます(レッグエクステンション、コンセントレーションカール、ペックフライなど)
ヒップスラストを以上のPOF法で分類すると、大臀筋が最も短く収縮した所で最大の負荷がかかるコントラクト種目となります。つまり、ヒップスラストのメリットは収縮する際に最大の刺激を与えられることです。
コントラクト種目のメリットの1つとして対象筋をしっかりと収縮させることができるため、自分がどこの筋肉を使っているのかはっきりわかることです。ヒップスラストではお尻(大臀筋)を使っている感覚が他の種目に比べてわかりやすいです。
他のメリットをあげると、股関節から動かす感覚が掴みにくい人がヒップスラストを行うとその感覚を掴みやすくなる点です。
スクワットなどで膝からどうも膝から曲げる感覚しかわからないという方はヒップスラストで股関節を使う感覚を養うと良いでしょう。
ヒップスラストのデメリット
ヒップスラストのデメリットとは最大収縮する際は負荷がかかりますが、お尻が引き延ばされる場面においては負荷がほとんどかからないことです。
筋肥大をさせる上で最も重要な刺激が筋肉がストレッチ(引き延ばされる)される時の刺激(参考文献)なのですが、ヒップスラストではこの刺激がかなり弱くなります。
POF法の種目をストレッチ刺激の強さで順位付けすると、
ストレッチ種目>ミッドレンジ種目>コントラクト種目
となります。
ちなみにコントラクト種目も筋肉を肥大させる刺激の1つとなりますが、筋肥大させる効果としてはストレッチ種目とミッドレンジ種目の方が高くなります。このため、お尻のトレーニングをする際にヒップスラストのみでお尻を鍛えようとするのは効率が悪いです。
そのため、フルスクワットや、ブルガリアンスクワット、バックランジ、スティッフドレッグデッドリフトなど色んな種目を組み合わせながらお尻のトレーニングして行く方がよいでしょう。
ヒップスラストのもう1つのデメリットとしては筋肥大の効果の割には、バーやプレートをセット(準備)する労力がかなり必要になることです。時間がないとき、早くトレーニングを終えたいときは他の種目さえ行っていればスキップしても良いと思います。
お尻を鍛えるトレーニングに本当に向いているのか。
ヒップスラストはお尻を鍛える種目に向いている種目ではありますが、お尻に与える刺激が弱いため優先順位としては低くなります。しかし、お尻を鍛えるトレーニングを数種類行う中でヒップスラストも取り入れる分には問題ありません。
一方、陸上、サッカー、ラグビー選手などが早く走るためにヒップスラストを取り入れるのは効果的です。ヒップスラストでは恥骨筋という体全体を伸ばすと働く筋肉が鍛えられます。
走るときは上体を伸ばしながら加速していくため、この時に働く恥骨筋を鍛えることは効果的です。
正しいフォーム
ヒップスラストでは下腹部に乗せたバーベルを股関節の伸展と屈曲で上げ下げして大臀筋を鍛えるのですがこの動作でのポイントは2つあります。
- 1つ目
- 足幅は腰幅程度に開くということ。両足がくっつくくらい狭い足幅にしてしまうとうまくお尻が収縮できなくなります。
- 2つ目
- 過度に腰を反らないこと。曲げた股関節はベンチに付いている上半身と水平になればしっかりと収縮するのでそれ以上は無理に腰を反らないようにする。
他にお尻に効くおススメのトレーニング
ヒップスラストの他にお尻に効くトレーニングは、ブルガリアンスクワット、バックランジ、フルスクワット、片脚でのレッグプレス、スティッフドレッグデッドリフト、バックエクステンションが挙げられます。
それぞれをPOF法で分類すると
- ストレッチ種目=スティッフドレッグデッドリフト
- ミッドレンジ種目=ブルガリアンスクワット、フルスクワット、片脚でのレッグプレス、バックランジ
- コントラクト種目=バックエクステンション
となります。
効果の高さから言うとミッドレンジ種目のブルガリアンスクワット、フルスクワット、バックランジ、片脚でのレッグプレス。それぞれ膝からではなく股関節から動かすようにカカト重心にして目線は前か少し上を向くのがポイントです。
まとめ
ヒップスラストはお尻をしっかりと収縮させる為の種目として非常に有効な種目ではありますが、筋肉に与える刺激は他の種目と比べて弱いため優先順位は低くなります。
ヒップスラストを取り入れる場合はブルガリアンスクワットやバックランジなどお尻に強い刺激が与えられる種目も一緒に行うとよいでしょう。
取材・この記事を書いた人
通称パクチー大原。フリーのパーソナルトレーナーとして活動中。TwitterやYOUTUBEで「『こうすればもっと早く筋肉をつけられるのに‼️ダイエットができるのに‼️』という過去の自分に教えたい筋トレ&ダイエット情報」を発信している。2023年の東京ボディビル選手権で優勝します。
取材依頼・お問合せ
当サイトでは、パーソナルトレーナーの方の取材依頼を受け付けています。自薦、他薦は問いません。ご希望の方はコチラよりご連絡お願い致します。取材・出張費は一切いただきません。
女性はヒップアップを目的としてこの種目をよく行なっていますが、そもそもヒップスラストは大臀筋を鍛えるヒップアップの種目として有効なのでしょうか。以下よりこのヒップスラストのトレーニング効果への考察をしていきたいと思います。